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日経225 先物・オプション統合分析

JPX 取引参加者別建玉残高 デルタ金額ベース分析

📅 建玉基準日: 2026-06-19
📈 日経平均: 69,788 円
📊 TOPIX: 3,990 pt
💹 先物清算値: 71,250 円
📉 当週 ATM IV: 29.9 %
【ATM IV 6週推移】 28.4% ➡ 28.3% ➡ 28.4% ➡ 28.1% ➡ 34.0% ➡ 29.9%

日次先物・オプション需給モニター

当日データ: 2026-06-23 現値目安: 69,788 マイナーSQ 2026-07-10まで13営業日(次メジャーSQ 2026-09-11)

当日の限月別建玉増減・J-NET・権利行使価格別の当日フロー。週次の参加者別ポジション(建玉基準日時点)とは別レイヤー。

🤖 AI解釈(当日需給)

当日公開されたデリバティブデータに基づき、2026年7月10日のマイナーSQ(オプション最終清算)およびその先の需給動向について、プロフェッショナルなアナリストの視点から分析・解釈を行います。

本レポートは、週次の取引参加者別建玉残高とは異なる「当日フロー」の分析であり、特定の投資家主体の相場観を断定するものではありません。


1. 確認済みデータ(事実)

① 先物市場の動向(限月ロール・建玉変化)

  • フロント先物清算値: 69,788円(前日比 -2,566円の大幅下落)
  • 日経225先物(ラージ換算・期近2026-09): 建玉は前日比 +594枚の増加。
  • TOPIX先物(ラージ換算・期近2026-09): 建玉は前日比 +1,732枚の増加。
  • ロール状況:
    • 主要な先物(日経225ラージ、マイクロ、TOPIX)において、期近(2026-09限月)の建玉が積み増されており、期先(2026-12限月)へのロールは行われていません(「期近積み増し」)。
    • 日経225mini(移行率6%)およびミニTOPIX(移行率0%)は「建玉縮小中心(ロール限定的)」の推移となっています。

② J-NET比率(立会外執行の濃度)

  • 日経225オプション: 総取引高 56,520枚に対し、J-NET枚数 37,878枚(比率 67.0%)。後場単体では 76.6% に上昇。
  • TOPIXオプション: 総取引高 700枚に対し、J-NET枚数 700枚(比率 100.0%)。
  • J-NET比率の平常比は、蓄積データ不足のため基準なし。

③ Put/Call比率(日経225オプション全体)

  • 建玉PCR: 1.94倍。直近6営業日の中でパーセンタイル100%(中央値1.84倍、レンジ1.79〜1.86倍を上回る)。
  • 出来高PCR: 1.94倍。

④ 限月別オプション建玉のP/C別増減・出来高

  • 2026-07限月(期近・次SQ): Put建玉 93,832(前日比 +1,476) / Call建玉 54,787(前日比 +113)。出来高は P 13,478枚、C 12,264枚。
  • 2026-08限月(期先・マイナー): Put建玉 54,195(前日比 +13,029) / Call建玉 14,514(前日比 +381)。出来高は P 16,255枚、C 745枚。
  • 2026-09限月(期先・メジャー): Put建玉 71,210(前日比 +98) / Call建玉 43,476(前日比 +806)。出来高は P 3,976枚、C 4,429枚。

⑤ 主要攻防帯・建玉変化(限月コード別)

  • 建玉集中上位(現値 69,788円近傍および主要ストライク):
    • 2608 P70,000(建玉 6,097枚)[ATM近傍 +0.3%]
    • 2607 C72,000(建玉 5,611枚)[OTM +3.2%]
    • 2607 C69,000(建玉 3,861枚)[ITM -1.1%]
    • 2607 C69,250(建玉 3,004枚)[ATM近傍 -0.8%]
    • 遠いテール: 2608 P65,000(建玉 6,713枚)[OTM -6.9%]、2607 P65,000(建玉 4,527枚)[OTM -6.9%]
  • 当日建玉増加上位:
    • 2608 P70,000(前日比 +5,974枚)[ATM近傍 +0.3%]
    • 2608 P65,000(前日比 +5,815枚)[OTM -6.9%]

⑥ max-pain(2026-07限月)

  • : 65,000(現値 69,788円から下方に4,788円乖離。現値距離 -6.9% であり、短期的な価格引き寄せ力は極めて低い「参考度低」の水準)。

⑦ Proxy Gamma 集中(2026-07限月・σ仮定38%)

  • 感応度の高い価格帯: 72,000、69,000、65,000、69,250、70,000(ピークは 72,000)。
  • ※BS式による近似値であり、買い手・売り手の符号は不明。

⑧ IV・スキュー(2026-07限月)

  • ATM IV: 37.5%(前日比 +4.8%)
  • 25δプットIV(59,000): 53.8%(前日比 +9.6%)
  • 25δコールIV(83,000): 35.9%(前日比 +3.0%)
  • プットスキュー(25δput - 25δcall): 17.8%(前日比 +6.5%)

2. 解釈と戦略仮説

(1) 先物市場における新規ショートの傾斜

フロント先物価格が前日比-2,566円と大幅に下落する中で、日経225先物(ラージ換算・期近09限月)の建玉が前日比+594枚、TOPIX先物(ラージ換算・期近09限月)が+1,732枚と、いずれも期近限月で建玉を積み増しています。「価格下落+建玉増加」の構図は、ヘッジファンド等による新規ショート(売り建て)の流入、あるいは現物株ポートフォリオに対する下値ヘッジ目的の先物売りが優勢であった可能性を示唆します。なお、次のメジャーSQ(9月)に向けたロールの動きは見られず、当日の下落局面における直接的な新規ポジション構築が中心です。

(2) オプション市場における異例の「8月限Put」急増と戦略仮説

当日の最も顕著な変化は、期近の7月限ではなく、2026-08限月(8月限)におけるPut建玉の爆発的な増加(前日比 +13,029枚、出来高 16,255枚)です。これに対し、同限月のCall建玉は+381枚(出来高745枚)に留まり、極端なPut偏重のフローが発生しています。 具体的には、2608 P70,000(前日比 +5,974枚)および2608 P65,000(前日比 +5,815枚)の2つのストライクに建玉増加が集中しています。

この事実と、ATM IV(+4.8%)およびプットIV(+9.6%)の急上昇、プットスキューの急拡大(+6.5%)という市場環境を組み合わせると、機関投資家やヘッジファンドの動向として以下の戦略仮説が浮上します。

  • 仮説A:下値ヘッジ目的の「プット買い」構築(ベア・プット・スプレッド等)
    • 先物の急落に伴い、7月限(残存13営業日)よりも時間的価値の残る8月限(約1.5ヶ月先)を利用し、ATM近傍の2608 P70,000の買いと、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)の2608 P65,000の売りを組み合わせた「プット・スプレッド」による下値ヘッジ、あるいは単純なプットの買い下がりが執行された可能性。IVの急上昇は、こうしたプット買い需要の強さを裏付けています。
  • 仮説B:ボラティリティ急上昇を狙った大口の立会外執行(J-NET)
    • 日経225オプションのJ-NET比率は67.0%(後場は76.6%)と高く、これらの大量建玉の多くがJ-NET(ブロック取引)で執行されたと推測されます。買い手と売り手の双方が合意するクロス取引であるため、一概に「方向性(下落リスク)」への賭けとは言えず、ボラティリティの上昇(ベガ・ロング)を狙った戦略や、証券会社(ディーラー)によるデルタヘッジを伴う非方向性のボラティリティ・トレードが裏で執行された可能性もあります。

(3) 7月限(期近)の需給状況と主要攻防帯

7月限(2026-07)の建玉増減はPut(+1,476枚)、Call(+113枚)と、8月限に比べると緩やかです。 Proxy Gamma集中(ガンマ感応度が高い価格帯)は、現値(69,788円)を挟んで2607 C72,0002607 C69,0002607 C69,250近傍に位置しています。現値近傍のこれらのストライクは、市場が動いた際にディーラーによるデルタヘッジ(先物の売り買い)を誘発しやすく、ボラティリティを増幅、あるいは特定の価格帯に引き寄せる「主要攻防帯」として機能する候補となります。 なお、max-pain(65,000)は現値から約4,800円下方に乖離しており、現時点ではSQ値の着地点として意識される段階ではなく、過去の残存ポジションの偏りを示す参考値に留まります。


3. 推測・シナリオ

翌営業日に向け、上下双方向のシナリオと監視条件を想定します。

【上振れシナリオ】

  • 想定される動き: 先物の買い戻し(ショートカバー)をきっかけに、現値近傍の攻防帯である2607 C69,2502607 C69,000を上抜ける展開。
  • 監視条件:
    1. フロント先物価格の上昇に伴い、先物期近(2026-09)の建玉が「減少」すること(ショートカバーの証明)。
    2. ATM IV(37.5%)およびプットスキュー(17.8%)が低下に転じること(市場の警戒感後退)。
    3. 2607 C72,000(Proxy Gammaピーク)に向けたコールの建玉変化。

【下振れシナリオ】

  • 想定される動き: 先物の新規売りが継続し、節目の70,000円を完全に下回って推移する展開。8月限で大量に仕込まれた2608 P70,0002608 P65,000のプットポジションがイン・ザ・マネー(ITM)化するにつれ、ヘッジの先物売りが加速するリスク。
  • 監視条件:
    1. 先物価格の下落とともに、先物期近の建玉がさらに「増加」すること(新規売りの継続)。
    2. 25δプットIV(53.8%)がさらに上昇し、プットスキューが18%を超えて拡大すること(下値警戒の強まり)。
    3. 7月限の2607 P65,000(建玉集中帯)に向けた下値模索。

4. 確認不能・追加確認すべきデータ

本日の公開データだけでは、以下の重要要素が確認不能であり、今後の追加情報や別媒体での確認が必要です。

  1. J-NET取引における売買差引(買い手/売り手の符号):
    • 8月限のPut(70,000 / 65,000)の大量建玉が「買い建て(ヘッジ)」なのか「売り建て(プレミアム獲得)」なのかは、取引参加者別の売買差引データ(週次等)が公開されるまで確定できません。
  2. Dealer GEX(ガンマ・エキスポージャー)の符号:
    • Proxy Gamma集中により感応度の高い価格帯(72,000、69,000、65,000)は特定できますが、市場全体として「Positive Gamma(逆張り・ピン留め圧力)」なのか「Negative Gamma(順張り・ボラティリティ増幅圧力)」なのかは、ディーラーのポジション符号が不明なため断定できません。
  3. 日経VI(ボラティリティ・インデックス)のリアルタイム推移:
    • 本日のオプションIVは前日比で急上昇していますが、これが一時的なパニック(ショック安)によるものか、持続的なボラティリティ上昇トレンドへの移行期であるかは、日経VIの推移や他限月のIV変化を継続観察する必要があります。

※AIによる解釈で、断定的判断ではありません。公開データの範囲での示唆です。

🔁 限月ロール(先物・建玉残高と前日比)

商品 期近(限月/建玉/前日比) 期先(限月/建玉/前日比) ロール
TOPIX 2026-09 394,200 +1,819 2026-12 4,455 +0 期近積み増し(ロールでない)
日経225mini 2026-09 144,851 -9,819 2026-12 4,517 +587 建玉縮小中心(ロール限定的)(移行率6%)
日経225 2026-09 141,977 +1,556 2026-12 16,941 +35 期近積み増し(ロールでない)
日経225マイクロ 2026-09 61,648 +2,010 2026-12 4,627 +969 期近積み増し(ロールでない)
ミニTOPIX 2026-09 35,603 -866 2026-12 18 +3 建玉縮小中心(ロール限定的)(移行率0%)
日経225系(ラージ換算):期近2026-09 +594枚 / 期先2026-12 +103期近積み増し(ロールでない)
TOPIX系(ラージ換算):期近2026-09 +1,732枚 / 期先2026-12 +0期近積み増し(ロールでない)

※mini/マイクロをラージ換算合算した系統全体のロール像。

📦 J-NET比率(立会外取引の割合)

商品 総取引高 J-NET J-NET比率 後場J-NET比率
日経225先物 62,369 13,100 21.0% 28.9%
日経225mini 739,329 80,263 10.9% 9.4%
TOPIX 64,673 7,552 11.7% 20.7%
日経225オプション 56,520 37,878 67.0% 76.6%
TOPIXオプション 700 700 100.0% 100.0%

※J-NET比率が高い=大口ブロック/クロス/ロール/裁定/ヘッジが多い可能性。方向性の確定材料ではない。

⚖ Put / Call(日経225オプション)

Put建玉
219,237
Call建玉
112,777
Put/Call 建玉比
1.94倍
Put出来高
37,328
Call出来高
19,192
Put/Call 出来高比
1.94倍

📅 限月別オプション建玉(期近→期先・P/C別/前日比)

限月 Put建玉前日比 Call建玉前日比 P/C比出来高P/C
2026-07 93,832 +1,476 54,787 +113 1.71倍 13,478/12,264
2026-08 54,195 +13,029 14,514 +381 3.73倍 16,255/745
2026-09 71,210 +98 43,476 +806 1.64倍 3,976/4,429

※ どの限月でP/Cどちらが増えたかから戦略仮説(ヘッジ/カレンダー/ボラ取り等)を読む。買い建て/売り建ての別は公開建玉からは確定不能。

📌 max-pain・PCR過去比較

max-pain(限月2607・参考値)
65,000
現値下方 4,788円
現値から大きく乖離(短期攻防の中心ではない・参考度低)
PCR建玉比 過去比較(直近6営業日)
上位 100%
中央値1.84倍・1.79〜1.86倍

※max-painは満期清算が寄りやすい参考水準で、Pinning断定ではない。PCRは絶対値でなく過去比で偏りを見る。

🌊 IVスキュー&先物価格(限月202607)

フロント先物清算: 69,788円(前日比-2,566円)
ATM IV 37.5%(前日比+4.8%) / 25δプットIV(59,000) 53.8%(前日比+9.6%) / 25δコールIV(83,000) 35.9%(前日比+3.0%)
プットスキュー(25δput-25δcall): 17.8%(前日比+6.5%)(プラス=下値プット割高=下方警戒)

※建玉増減×IV変化で戦略を判定: Put建玉増+Put IV上昇=下値ヘッジ買い候補/Put建玉増+Put IV低下=Put売り候補 等。

🌀 Proxy Gamma 集中(Absolute・符号不明)

ガンマ感応度が高い帯(限月2607・σ仮定38%): 72,000、69,000、65,000、69,250、70,000(ピーク 72,000)

※BSガンマ×建玉の近似。買い手/売り手の符号は不明=Positive/Negative GEXは確定不能。IV未取得でσ仮定のため水準は近似。

🎯 主要攻防帯(建玉集中・当日増加/限月コード付き)

建玉集中 上位
2608 P 65,000 6,713 OTM-6.9%
2608 P 70,000 6,097 ATM+0.3%
2607 C 72,000 5,611 OTM+3.2%
2607 P 65,000 4,527 OTM-6.9%
2609 C 65,000 3,885 ITM-6.9%
2607 C 69,000 3,861 ITM-1.1%
2607 C 69,250 3,004 ATM-0.8%
2607 C 72,250 3,004 OTM+3.5%
2607 C 75,000 2,700 OTM+7.5%
2607 C 70,000 1,918 ATM+0.3%
当日 建玉増加 上位
2608 P 70,000 +5,974 ATM+0.3%
2608 P 65,000 +5,815 OTM-6.9%
2609 C 84,000 +751 OTM+20.4%
2609 C 78,000 +501 OTM+11.8%
2608 P 65,500 +499 OTM-6.1%
2607 P 69,000 +456 OTM-1.1%
2607 P 55,000 +449 OTM-21.2%
2609 C 73,500 +400 OTM+5.3%
2608 P 68,000 +349 OTM-2.6%
2607 C 80,000 +340 OTM+14.6%
出来高 上位
2608 P 65,000 6,038 OTM-6.9%
2608 P 70,000 6,032 ATM+0.3%
2607 C 80,000 2,072 OTM+14.6%
2607 C 90,000 1,480 OTM+29.0%
2607 P 60,000 1,193 OTM-14.0%
2607 P 58,000 1,182 OTM-16.9%
2609 P 60,000 1,071 OTM-14.0%
2607 C 75,000 1,013 OTM+7.5%
2607 P 65,000 928 OTM-6.9%
2607 P 63,000 861 OTM-9.7%

※感応度が高い価格帯・建玉集中帯の候補。必ず止まる「Pinning価格」ではない。同一Strikeでも限月が違えば別物(合算しない)。

AI Market Insights CIO VIEW

JPX市場需給分析レポート(基準日: 2026年6月19日)

本レポートは、2026年6月19日時点の最新市場データおよびデリバティブ市場における各プレイヤーの建玉状況に基づき、グローバル・マクロおよび需給の観点から日本株市場の現状と短期・中長期の見通しを分析したものである。


1. 今週の需給コンセンサス

現物指数(日経平均株価: 72,354円、TOPIX: 4,095 pt)が6週高値を更新する中、市場の需給コンセンサスは「米系主導の買いと欧州系の断続的な売りが衝突する、強弱感が激しく対立した地合い」を示唆している。

主要ブローカー経由のフロー分析

当週の需給を主導したのは、米系および欧州系の大手ブローカー経由の極めて大規模なフローである。

  • JPモルガン(JPM)経由のフロー: 当週、前週比合計で▲4,451億円の大幅な買い越しを執行し、累積デルタは+13,814億円に達している。内訳を見ると、日経225先物合算では-1,642億円(ラージ -2,454億円、mini +812億円)と売り越し基調であるものの、TOPIX先物において+15,510億円という巨額の買い越し建玉を維持している。TOPIX先物はグローバルな年金・パッシブファンドの資金移動を反映しやすいため、JPM経由のこの巨額の買い越しは、グローバル機関投資家による日本株アロケーション増加の強力な先行シグナルとして解釈できる。
  • ゴールドマン・サックス(GS)経由のフロー: 一方で、トレンドフォロワーとして注目されるGS経由のフローは、前週比合計で▼1,903億円の売り越しとなり、累積デルタは-5,818億円まで売り越し幅を拡大している。内訳は日経225合算で-1,981億円、TOPIX先物で-3,792億円、オプション(デルタ)で-44億円と、先物主体で慎重な姿勢を示している。

需給のメインシナリオ(強気)

JPM経由のTOPIX先物への巨額の資金流入が示す通り、グローバルな長期資金の日本株シフトが継続している可能性が高い。現物指数が72,354円と高値圏にあることは、この現物買いを伴う「両輪買い」に近い需給構造が下支えしていることを示唆している。

懐疑シナリオ(弱気)

しかし、GS経由の先物売り越しに加え、当週は欧州系全体で▼6,481億円という極めて大規模な売り越しが観測されている。特にHSBC証券経由では前週比▼15,358億円(累積-32,511億円)という巨額の売り越しが記録されており、一部の海外マクロ系ファンドによる利益確定、あるいはヘッジ目的の先物売り圧力が上値を抑えるリスクには十分な警戒が必要である。


2. 短期的なリスク展望

短期的な市場環境を測る上で、オプション市場のボラティリティおよび建玉状況は重要なシグナルを発している。

IV(インプライド・ボラティリティ)の評価

当週のATM IV(当週実測値)は29.9%(Put IV: 27.9% / Call IV: 31.8%)を記録している。前週の34.0%からは低下しているものの、依然として25〜30%の「注意圏・ボラタイル」な水準に位置している。 * コールの相対的高さ: Call IV(31.8%)がPut IV(27.9%)を上回る「コール・スキュー」の傾向が見られる。これは、現物の上昇に伴い、さらなる急騰を警戒または期待したコール買いの需要が強いことを示唆している。 * オプション戦略への示唆: IVが29.9%と高水準にあるため、オプションの単純な買い(ロング・ベガ)は時間価値の減衰(セータ)およびIV剥落リスクに対して不利になりやすい。方向性を狙う場合でも、クレジット・スプレッドやデビット・スプレッドなど、損失を限定しつつボラティリティの歪みを利用するスプレッド戦略が推奨される。

主要攻防帯とピンニングリスク

当週のATMストライクは71,250円(先物清算値と同水準)である。この価格帯は建玉が集中する主要攻防帯(感応度が高い価格帯)として機能する可能性が高く、SQに向けて価格がこの水準に引き寄せられる、あるいはこの水準を突破した際にヘッジ売買が加速するリスクを内包している。米系の公開建玉ベースの部分ネットデルタ推計は+46億円とほぼ均衡(中立圏)しているが、これはディーラーのヘッジ姿勢がニュートラルであることを意味せず、突発的な価格変動に対してヘッジフローがどちらの方向にも傾き得る状態であることを示唆している。


3. 個人(ネット系)動向

個人投資家の動向を反映しやすいネット系証券のポジションは、当週、前週比で▼2,292億円の大幅な売り越しとなり、累積ポジションは-4,299億円まで売り越し幅を拡大している。

逆張り指標としての解釈

ネット系は過去6週間において、相場が上昇する局面(現値72,354円は6週高値)で一貫して売り越しを積み上げており(05-15の-3,094億円から06-19の-4,299億円)、典型的な「逆張り(利益確定売りまたは新規空売り)」の行動パターンを示している。 * 市場への影響: 個人投資家が売り(ショート)に傾いていることは、相場がさらに上昇した場合に、これらのポジションの買い戻し(ショートカバー)を巻き込んだ上昇の燃料となり得ることを示唆している。 * 反対解釈: 一方で、個人が利益確定を急いでいるということは、国内リテール資金の新規の買い余力が一時的に低下している可能性もあり、海外勢の買いフローが途絶えた場合には、サポート不在による調整局面を早める要因とも解釈できる。


4. 中長期トレンド分析(過去6週ベース)

過去6週間の属性別ポジション推移およびIVの推移を俯瞰すると、マクロ的な需給のうねりとプレイヤー間の構造的な役割交代が鮮明に浮かび上がる。

プレイヤーの役割交代と資金フローの持続性

  • 米系と欧州系の完全な二極化: 米系は6週間で累積ポジションを+1,897億円増加(+11,158億円から+13,055億円)させたのに対し、欧州系は-9,671億円減少(-9,885億円から-19,557億円)させている。この動きは、欧州系経由のヘッジファンドやCTAによる断続的な利益確定・ショート戦略に対し、米系経由のリアルマネー(長期投資家)がTOPIX先物などを通じて日本株を買い受けるという、明確な「受け皿」の構図を示している。
  • 日系(国内機関投資家・事業法人)の存在感: 日系は6週間で+9,272億円増加(+420億円から+9,692億円)と、最も顕著な買い越しトレンドを示している。これは、新年度入り後の事業法人による自社株買いの執行や、信託銀行(GPIF等)によるリバランス買い、あるいは国内機関投資家の新規資金配分が、中長期的な下値支持として強力に機能していることを裏付けている。

IVの時系列推移と市場心理の変遷

過去6週のATM IV推移は以下の通りである。 28.4% ➡ 28.3% ➡ 28.4% ➡ 28.1% ➡ 34.0% ➡ 29.9%

5月中旬から6月上旬にかけては28%台前半で極めて安定的に推移していたが、前週(06-12)に34.0%へと急騰した。これは地政学リスクの台頭や一時的な急落局面におけるパニック的なプット買いが主導したとみられる。当週(06-19)は29.9%へと低下し、最悪期のパニック心理は和らぎつつあるものの、依然として平穏期(15〜20%)を大きく上回る高水準にある。

総括

中長期的な日本株のトレンドは、日系および米系(特にJPM経由のTOPIX先物)の強力な買いフローに支えられ、現物主導の上昇トレンドを維持している。しかし、欧州系(特にHSBCやBNPパリバ経由)の巨額の先物売り越しが累積していること、およびIVが29.9%と高止まりしている事実は、市場が依然として潜在的なボラティリティの再スパイク(急激な巻き戻し)に対して神経質になっていることを示している。押し目買いの優位性は維持されていると考えられるが、急激な先物主導の乱高下に備え、リスク管理を厳格に保つべき局面である。


🌍 追跡対象ネット・エクスポージャー: -51 億円

※市場全体では買建と売建が必ず一致しゼロです。本値は当システムが公表データから取得できた 参加者・対象商品・対象限月を合計した参考値で、未掲載参加者・対象外限月・対象外商品は含みません。

先物合計: -51
OP合計: +0
前週データ: 2026-06-19

🎯 ブローカー経由別ポジション&前週比 (統合デルタ・億円)

🇺🇸 米系ブローカー経由
ネット買い越しプロキシ
+12,845 億円
▼ -210 億円
先物: +12,816
OP: +28
🇪🇺 欧州系ブローカー経由
ネット売り越しプロキシ
-19,033 億円
▲ +524 億円
先物: -19,024
OP: -9
🇯🇵 日系ブローカー経由
ネット買い越しプロキシ
+9,273 億円
▼ -419 億円
先物: +9,253
OP: +21
💻 オンライン証券経由
ネット売り越しプロキシ
-4,160 億円
▲ +139 億円
先物: -4,129
OP: -31
📁 その他
ネット買い越しプロキシ
+1,024 億円
▼ -31 億円
先物: +1,033
OP: -9

📈 ブローカー経由別建玉推移(直近6週) (統合デルタ・億円)

📊 異常値バッジの見方: 🔴Z:+3.2 異常値(|Z| ≥ 3.0)過去平均から3標準偏差以上の乖離。極めて稀なポジション変動。 🟡Z:+2.3 注意(|Z| ≥ 2.0)過去平均から2標準偏差以上の乖離。通常の変動域を超えている。 ※過去8週の実績値を基準に計算(履歴4週未満の場合は表示なし)

📋 証券会社別 詳細テーブル (統合)

証券会社 日経先物合計
(億円)
TOPIX
(億円)
オプション
(億円)
統合合計
(億円)
前週比
日系 野村証券
+21,542 -5,388 +29 +16,183 ▼ -666 億円
米系 JPモルガン証券
-1,584 +15,114 -35 +13,495 ▼ -319 億円
欧州系 ソシエテG証券
+7,150 +5,551 -13 +12,688 ▼ -403 億円
米系 シティグループ証券
+1,320 +3,299 +28 +4,647 ▼ -150 億円
欧州系 ドイツ証券
+1,993 +1,934 +0 +3,927 ▼ -124 億円
日系 SMBC日興証券
+3,634 -897 -4 +2,733 ▼ -107 億円
欧州系 UBS証券
+3,870 -1,481 -49 +2,340 ▼ -78 億円
欧州系 ABNクリアリン証券
+2,963 -693 -3 +2,267 ▼ -80 億円
欧州系 バークレイズ証券
+6,632 -5,004 +39 +1,667 ▼ -133 億円
その他 日産証券
+1,067 +259 +0 +1,326 ▼ -46 億円
米系 ビーオブエー証券
-1,119 +1,679 +40 +600 ▼ -27 億円
その他 サスケハナ・ホンコン
+186 +8 +1 +196 ▼ -8 億円
その他 東海東京証券 🟡Z:+2.07
+203 -10 +0 +193 ▼ -7 億円
その他 三菱UFJeスマート
+91 +72 -3 +160 ▼ -3 億円
その他 フィリップ証券
+65 +8 -1 +72 ▼ -2 億円
ネット系 楽天証券
+44 +0 -10 +34 ▲ +3 億円
ネット系 松井証券
-37 +52 -8 +6 ▲ +4 億円
その他 広田証券
+0 +0 +0 +0 ▼ -0 億円
ネット系 マネックス証券
-4 +0 -0 -5 ▲ +0 億円
その他 豊証券
-1 -6 +0 -7 ▲ +0 億円
その他 三田証券
-8 +0 +0 -8 ▲ +0 億円
その他 岩井コスモ証券
-13 +0 -0 -14 ▲ +0 億円
その他 光世証券
-37 +0 +0 -37 ▲ +1 億円
その他 岡三証券
-7 -32 +0 -39 ▲ +1 億円
その他 立花証券
-105 +0 +0 -105 ▲ +4 億円
その他 インタラクティブ証券
+0 -110 -5 -115 ▲ +6 億円
米系 モルガンMUFG証券
-10,397 +10,111 +24 -262 ▲ +104 億円
日系 大和証券
+482 -810 +0 -328 ▲ +4 億円
その他 ナティクシス証券
-597 +0 +0 -597 ▲ +22 億円
日系 みずほ証券
-4,695 +3,320 -4 -1,379 ▲ +88 億円
ネット系 SBI証券
-1,451 -2,732 -13 -4,196 ▲ +131 億円
米系 ゴールドマン証券
-1,911 -3,695 -29 -5,635 ▲ +182 億円
日系 三菱UFJ証券
-5,235 -2,701 +0 -7,936 ▲ +263 億円
欧州系 BNPパリバ証券
+464 -10,974 +16 -10,494 ▲ +259 億円
欧州系 HSBC証券
-24,563 -6,865 +0 -31,428 ▲ +1,083 億円

データ出典: JPX 取引参加者別建玉残高一覧

生成日時: 2026-06-23 21:50 JST | 建玉基準日: 2026-06-19 | 次回SQ算出日: 2026-07-10(残存 15営業日)

⚠ 本値は簡易Black-Scholesデルタによる概算です。建玉残高は基準日時点であり当日フローではありません。 Dealer GEX・Gamma Flip・ゼロガンマ水準・Pinning は公開データから確定できません。投資判断の参考としてのみご利用ください。