JPX 取引参加者別建玉残高 デルタ金額ベース分析
集計基準日: 2026年6月12日 グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)分析
当週の日本株市場は、現物指数(日経平均株価 71,250円、TOPIX 4,095pt)が高値圏を維持する一方、デリバティブ市場における大口プレイヤーのフローは極めて激しく交錯しており、明確な方向性を欠いた「強弱対立」の様相を呈しています。なお、先物清算値(66,020円)と現値との間に乖離が見られますが、これは建玉基準日時点からの日数経過に伴う相場変動(基準日差)を反映したものであり、需給分析においては現値を基準価格として評価します。また、本レポートで言及する建玉残高はすべて基準日時点のものであり、当日のリアルタイムフローを示すものではない点に留意してください。
当週の需給を主導しているのは、米系ブローカー経由の買いフローと、欧州系ブローカー経由の強烈な売りフローの衝突です。
米系(JPM等)および国内勢(野村証券経由で前週比 +10,771億円、Zスコア: +2.47)の買いフローが下値を支える一方、欧州系(HSBC等)の売り圧力が上値を抑えており、市場のコンセンサスは「高値圏での拮抗」にあります。
当週の最も重要な変化は、オプション市場におけるボラティリティの急激な上昇です。今週のATM IV(当週実測値)は 34.0%(Put IV: 34.0% / Call IV: 34.1%、ATMストライク: 66,000)に達しており、前週の28.1%から急騰しています。 この34.0%という水準は、市場参加者が突発的な変動に対して極めて神経質になっている「高IV(パニック的売買の兆候)局面」に該当します。地政学リスクの再燃や、現物価格の急激な上昇に伴うコール・プット双方のヘッジ需要の爆発が背景にあると推論されます。
基準日時点のATMストライクである「66,000円」付近は、オプション建玉が集中する「主要攻防帯(感応度が高い価格帯)」として機能しています。 * 強気シナリオ: JPM経由のTOPIX先物買いに代表される実需の買いが継続し、現値71,250円をサポートに関門を突破する場合、売り手の買い戻し(ショートカバー)を巻き込んで上値を追う展開が想定されます。 * 弱気シナリオ(懐疑見通し): HSBC経由などの欧州系売り圧力がさらに強まり、高IV(34.0%)を背景としたボラティリティの急拡大が引き金となって、主要攻防帯である66,000円方向への急激な平均回帰(調整)が生じるリスクがあります。
IVが34.0%と高水準であるため、ネイキッド(裸)のオプション売りは極めて危険です。ボラティリティの剥落を狙う場合でも、クレジット・スプレッドなどの「損失限定スプレッド」に限定し、想定外の急激な価格変動に対する防御策を徹底することを推奨します。
個人投資家の動向を反映しやすいネット系証券経由のポジションは、前週比 -1,419億円(累積: -2,006億円)と売り越しに傾いています。
現物指数が71,250円と高値圏に位置する中で、ネット系が売り越しを継続していることは、個人投資家特有の「逆張り(利益確定売りおよび新規ショート)」の行動原理と一致します。 * 需給面への影響: 個人投資家の売り越し(ショートの蓄積)は、相場がさらに上昇した場合には「将来の買い戻し圧力(燃料)」として機能するため、短期的には相場の下値を支える要因(サポート)となり得ます。 * 注意点: ただし、相場が急落に転じた場合、これらの売りポジションは早期に利益確定され、下落のクッションとなる一方で、個人が買いに転じる(押し目買いを入れる)ことで、かえって需給がシコリ化するリスクも内包しています。現時点では、ネット系の売り越しは相場の上昇トレンドにおける「健全な逆行現象」の範囲内であると解釈されます。
直近6週間の属性別ポジション推移およびIVの推移を俯瞰すると、数週間単位でのマクロ的な需給のうねりとプレイヤーの役割交代が鮮明に浮かび上がります。
+16,856 ➡ +11,158 ➡ +10,742 ➡ +9,021 ➡ +6,161 ➡ +9,471 億円
6週間全体では -7,385億円の減少となっていますが、直近週(06-12)で再び買い越し幅を +9,471億円へと拡大させており、中長期的な買い主導力は依然として維持されています。一時的な買い手控えを経て、再び日本株への資金配分を再開している様子が窺えます。-11,707 ➡ -9,885 ➡ -15,512 ➡ -12,331 ➡ -12,018 ➡ -13,075 億円
6週間を通じて一貫して1兆円を超える大規模な売り越しを継続しており、累積の減少幅は -1,369億円となっています。欧州系ブローカー経由のフローは、日本株の上値を抑える構造的な売り圧力として機能し続けています。-236 ➡ +420 ➡ +7,534 ➡ +5,278 ➡ +6,035 ➡ +4,896 億円
6週間で +5,132億円の増加を記録しており、国内の機関投資家(信託銀行等のリバランスや事業法人の自社株買い)が、相場の調整局面において強力な下支え役(買い手)として台頭している構図が示されています。ATM IVは、26.7% ➡ 28.4% ➡ 28.3% ➡ 28.4% ➡ 28.1% と、過去5週間は28%前後の警戒域で推移していましたが、今週(06-12)に入り 34.0% へと急騰しました。
これは、これまでの「緩やかな上昇と警戒感の共存」というレンジ相場から、価格が71,250円まで急伸したことに伴う「ボラティリティの急激なシフト(ボラティリティ・スパイク)」が発生したことを意味します。
中長期的な需給構造は、「米系・日系の買い vs 欧州系の売り」という巨大な資金フローの対峙によって形成されています。足元では米系が再び買いを活発化させていますが、IVの急騰(34.0%)は市場の流動性が低下し、突発的なショックに対して脆弱になっていることを警告しています。数週間単位のうねりとしては、上昇トレンドの最終局面に特有の「ボラティリティを伴う乱高下フェーズ」に移行しつつあると考えられ、リスク管理の厳格化が求められる局面です。
※市場全体では買建と売建が必ず一致しゼロです。本値は当システムが公表データから取得できた 参加者・対象商品・対象限月を合計した参考値で、未掲載参加者・対象外限月・対象外商品は含みません。
| 証券会社 | 日経先物合計 (億円) |
TOPIX (億円) |
オプション (億円) |
統合合計 (億円) |
前週比 |
|---|---|---|---|---|---|
|
日系
野村証券
|
+22,334 | -5,529 | +45 | +16,850 | ▲ +7,610 億円 |
|
米系
JPモルガン証券
|
-1,642 | +15,510 | -54 | +13,814 | ▲ +4,451 億円 |
|
欧州系
ソシエテG証券
|
+7,412 | +5,697 | -19 | +13,091 | ▲ +6,070 億円 |
|
米系
シティグループ証券
🟡Z:+2.58
|
+1,368 | +3,386 | +43 | +4,798 | ▲ +2,695 億円 |
|
欧州系
ドイツ証券
🟡Z:+2.12
|
+2,066 | +1,985 | +0 | +4,051 | ▲ +2,954 億円 |
|
日系
SMBC日興証券
|
+3,767 | -920 | -7 | +2,840 | ▲ +1,495 億円 |
|
欧州系
UBS証券
|
+4,012 | -1,520 | -74 | +2,418 | ▲ +834 億円 |
|
欧州系
ABNクリアリン証券
|
+3,072 | -711 | -14 | +2,347 | ▲ +2,608 億円 |
|
欧州系
バークレイズ証券
|
+6,876 | -5,136 | +60 | +1,800 | ▲ +1,675 億円 |
|
その他
日産証券
|
+1,106 | +266 | +0 | +1,372 | ▲ +751 億円 |
|
米系
ビーオブエー証券
|
-1,160 | +1,723 | +64 | +627 | ▼ -666 億円 |
|
その他
サスケハナ・ホンコン
|
+193 | +9 | +2 | +204 | ▲ +198 億円 |
|
その他
東海東京証券
🔴Z:+4.5
|
+211 | -11 | +0 | +200 | ▲ +156 億円 |
|
その他
三菱UFJeスマート
|
+94 | +74 | -5 | +164 | ▲ +66 億円 |
|
その他
フィリップ証券
|
+68 | +8 | -2 | +74 | ▼ -45 億円 |
|
ネット系
楽天証券
|
+45 | +0 | -14 | +31 | ▼ -7 億円 |
|
ネット系
松井証券
|
-39 | +54 | -13 | +2 | ▼ -16 億円 |
|
その他
広田証券
|
+0 | +0 | +0 | +0 | ▲ +4 億円 |
|
ネット系
マネックス証券
|
-5 | +0 | -0 | -5 | ▼ -7 億円 |
|
その他
豊証券
|
-1 | -7 | +0 | -7 | ▼ -7 億円 |
|
その他
三田証券
|
-9 | +0 | +0 | -9 | ▼ -6 億円 |
|
その他
岩井コスモ証券
|
-14 | +0 | -0 | -14 | ▼ -4 億円 |
|
その他
光世証券
|
-38 | +0 | +0 | -38 | ▼ -20 億円 |
|
その他
岡三証券
|
-7 | -32 | +0 | -40 | ▼ -19 億円 |
|
その他
立花証券
|
-109 | +0 | +0 | -109 | ▼ -64 億円 |
|
その他
インタラクティブ証券
🟡Z:-2.61
|
+0 | -113 | -8 | -121 | ▼ -323 億円 |
|
日系
大和証券
|
+499 | -831 | +0 | -332 | ▼ -108 億円 |
|
米系
モルガンMUFG証券
|
-10,780 | +10,376 | +37 | -367 | ▼ -993 億円 |
|
その他
ナティクシス証券
🟡Z:-2.38
|
-619 | +0 | +0 | -619 | ▼ -318 億円 |
|
日系
みずほ証券
🟡Z:+2.0
|
-4,868 | +3,407 | -6 | -1,467 | ▼ -576 億円 |
|
ネット系
SBI証券
|
-1,505 | -2,803 | -19 | -4,327 | ▼ -2,262 億円 |
|
米系
ゴールドマン証券
|
-1,981 | -3,792 | -44 | -5,818 | ▼ -1,903 億円 |
|
日系
三菱UFJ証券
|
-5,427 | -2,772 | +0 | -8,199 | ▼ -3,624 億円 |
|
欧州系
BNPパリバ証券
|
+481 | -11,262 | +29 | -10,752 | ▼ -5,264 億円 |
|
欧州系
HSBC証券
🟡Z:-2.53
|
-25,466 | -7,046 | +0 | -32,511 | ▼ -15,358 億円 |
データ出典: JPX 取引参加者別建玉残高一覧
生成日時: 2026-06-22 17:25 JST | 建玉基準日: 2026-06-19 | 次回SQ算出日: 2026-07-10(残存 15営業日)
⚠ 本値は簡易Black-Scholesデルタによる概算です。建玉残高は基準日時点であり当日フローではありません。 Dealer GEX・Gamma Flip・ゼロガンマ水準・Pinning は公開データから確定できません。投資判断の参考としてのみご利用ください。